在留カードは,新規の上陸許可,在留資格の変更許可や在留期間の更新許可など在留資格に係る許可の結果として我が国に中長期間在留する者(中長期在留者)に対して交付されます。したがって,法務大臣が我が国に中長期間滞在できる在留資格及び在留期間をもって適法に在留する者であることを証明する「証明書」としての性格を有するとともに,上陸許可以外の在留資格に係る許可時に交付される在留カードは,従来の旅券になされる各種許可の証印等に代わって許可の要 式行為となるため「許可証」としての性格を有しています。
在留カードには,氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地,在留資格,在留期間,就労の可否など,法務大臣が把握する情報の重要部分が記載されていますので,記載事項に変更が生じた場合には変更の届出を義務付けており,常に最新の情報が反映されることになります。また,16歳以上の方には顔写真が表示 されます。
なお,中長期在留者が所持する従来の外国人登録証明書は,一定の期間,みなし再入国許可による出国や入国管理局で行う各種申請手続,市区町村で行う住居地届出手続等において,在留カードとみなされます。(入国管理局ホームページより)
在留カードは、国が日本に3か月を超えて滞在する外国人に交付する身分証です。自治体発行の外国人登録証明書が廃止され、2012年から導入されました。固有の番号のほか、顔写真や氏名、住所、国籍、在留資格、期間、就労の可否などが記載されています。
政府は、4月から始まる外国人労働者受け入れ拡大に伴い、外国人を雇用した事業者が厚生労働省へ提出する「外国人雇用状況の届出」に、上記在留カードに記載されている「在留カード番号」の記載を義務付ける方針をまとめました。
偽造在留カードを使った不法就労を防ぐのが目的で、法務省と厚労省は2019年度中の運用改正を目指し、協議しています。
平成31年3月23日 読売新聞より
外国人雇用状況の届出は2007年10月、雇用対策法(現・労働施策総合推進法)に基づき、外国人の雇用時と離職時に、雇用主による厚労省への届け出が義務付けられた。対象には外国人技能実習生やアルバイトの留学生も含まれ、氏名や在留資格、国籍などを指定の様式に従い記載する。届け出を怠ったり、虚偽の届け出をしたりすると、30万円以下の罰金が科せられる。
法務省は月に1回、厚労省からの届出の一覧表を取り寄せ、外国人の個人データと照合したり、偽造在留カードを使った不法就労がないかをチェックしたりしている。ただ、届け出の際に雇用主が名前を間違えるなどして、確認が取れないケースは少なくない。
不法滞在の外国人は、就労可能な偽造カードを雇用主に提示するケースが多い。偽造カードの多くには、英数字12桁からなる正規のカード番号が転載されており、雇用主側が法務省のサイトで確認しても、「失効していません」と表示され、偽造を見抜くのは難しい。
東京入国管理局が今年1月、埼玉県の偽造カードの製造拠点を摘発した際も、押収したカードには正規の番号が転載されていた。偽造カードの所持や行使などで警察が外国人を検挙した件数は増加傾向にあり、昨年は10月末時点で523件に上った。
外国人雇用状況の届け出に在留カード番号の記載が義務付けられれば、一覧表から同じ番号の外国人が複数いることが容易に判明し、偽造カードのを使った不法就労を防ぐことにつながる。また、12桁の番号であれば、書き間違いも減り、確認もスムーズになると見込まれている。
昨年12月に外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理・難民認定法が成立。新たな在留資格「特定技能」では、今後5年間に14業種で最大34万人の受け入れが見込まれている。
それに伴い、在留期限後も日本で働き続けるなど不法就労者の増加も懸念されており、政府は対策の必要があるとしていた。厚労省は今後、審議会に諮った上で、届け出様式を規定した省令を変更する方針だ。法務省は3月22日、2018年末時点の在留外国人は273万1,093人で、前年比で6.6%(16万9,245人)増えたと発表した。5年連続で過去最多を更新した。このうち、働きながら技術を学ぶ技能実習生は、前年比19.7%増の32万8,360人となった。
在留資格別では永住者が77万1,568人で最も多く、全体の約3割。技能実習生は留学の33万7,000人に次ぐ3位だった。
国籍・地域別では中国の76万4,720人が最も多く、2位が韓国の44万9,634人だった。前年比の増加率では、ベトナムの26.1%増、ネパールの11.1%増、インドネシアの12.7%増などが高く、法務省は「技能実習生としての来日が増えた」と分析している。