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今回は被相続人が死亡した場合にしなければならない役所への届出や手続き、それらの届け出先や何が必要になるのかということについて見ていきたいと思います。

1.死亡届出の提出

人が亡くなった場合、死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡診断書または死体検案書を添付して死亡の届出をしなければなりません。
死亡届は医師が作成する死亡診断書と一体になっています。死亡診断書が右側に記入されているので、用紙の左側にある死亡届に必要事項を記入して作成します。
同居の親族が届出人になることが多いですが、同居していない親族、親族でない同居者や家主、後見人等も届出人となることができます。
死亡届出の提出は、亡くなった方の本籍地死亡地、または届出人の所在地いずれかの市区町村役場の戸籍・住民登録窓口ですることができます。
そして死亡届書が受理されると、住民票に死亡年月日が記載されます。
死亡診断書は、証券口座の解約や死亡保険金の受取時にも必要になるので、役所に提出する前にコピーを取っておくとよいでしょう。

2.死体火(埋)葬許可申請書の提出

お葬式を行うために必ず必要で、亡くなった人の火(埋)葬を役所が許可したことを証明する書面です。
火葬(埋葬)を行おうとする者は、死亡届を受理した市区町村長から火葬(埋葬)の許可を受けなければなりません。この火葬許可証がなければ火葬ができませんし、焼骨を墓地に埋蔵したり、納骨堂に収蔵することができないのです。
火葬(埋葬)許可をする市区町村長は死亡届書を受理した市区町村長なので、死亡届書を提出するときに死体火(埋)葬許可申請書を一緒に市町村役場の戸籍係に提出します。
提出の際には印鑑を持っていきましょう(葬儀会社の人が提出を代行してくれる場合もあります)。

3.世帯主の変更

通常、死亡届書と一緒に提出します。
世帯主に変更があった者は、その変更から14日以内に、その氏名・変更があった事項・変更があった年月日を市区町村長に届け出なければなりません。
世帯主が死亡したときは、新たな世帯主を届け出なければなりません。
自分か子供か誰を世帯主とするかよく考えて決めてください。
具体的には、住所地の市区町村役場に住民異動届書があるので、戸籍・住民登録窓口で死亡の事実を伝えれば書類を用意してもらえます。
世帯の年収が300万円以下の場合は様々なメリットを享受できるので、月額25万円以下の年金を支給されている方であれば、世帯は分離して単独で住民票を作っておいた方が良いでしょう。

4.健康保険の資格喪失届出

日本国民は次のいずれかの医療保険に加入しています。
①企業等に雇われている人が加入する健康保険組合・協会けんぽ(全国健康保険協会)などの被用者保険
②自営業者などが加入する国民健康保険
③75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度

①協会けんぽの手続き

協会けんぽに加入している人は、死亡の日の翌日から被保険者の資格を喪失します。
事業主は、資格の喪失を5日以内に日本年金機構に届け出なければなりません。
保険証は、遺族から事業主に返還し、事業主から協会けんぽへ返還します。

注意を要するのは、会社員の妻などが夫の健康保険の扶養に入っている場合です。
夫が死亡したとき妻は、自分で国民健康保険に加入するか、被用者保険に加入する必要があります。
国民健康保険に加入する場合には、死亡から14日以内市区町村役場の医療保険課に届け出る必要があります。資格喪失届出・被保険者証・死亡の事実がわかる資料を提出します。

②国民健康保険の手続き

国民健康保険に加入している人も、死亡の日の翌日から被保険者の資格を喪失します。
資格の喪失を14日以内市区町村役場の医療保険課に届出し、保険証を返還しなければなりません。

③後期高齢者医療保険の手続き

後期高齢者医療保険に加入している人も、死亡の日の翌日から被保険者の資格を喪失します。
資格の喪失を14日以内に後期高齢者医療広域連合に届出し、保険証を返還しなければなりません。
後期高齢者医療広域連合に他する届出は、市区町村が窓口になっているので、市区町村役場の医療保険課に資格喪失届出を提出する必要があります。

5.国民年金・厚生年金の資格喪失届出

死亡すると、死亡の翌日に国民年金や厚生年金保険の被保険者の資格を喪失します。

①国民年金の手続

国民年金の被保険者が死亡したときその遺族は、14日以内市区町村役場の年金課などの窓口、または年金事務所で国民年金の資格喪失届出を提出しなければなりません。
その際、所定の資格喪失届出・年金受給者死亡届(報告書)・年金手帳・死亡の事実がわかる資料などを提出します。

注意を要するのは、会社員の妻などが、夫の扶養配偶者として国民年金の3号被保険者として年金保険料の納付を免れていた場合には、事業主を経由して夫の厚生年金資格喪失届出を提出するとともに、自分の国民年金の被保険者の種別が第3号被保険者から第1号被保険者へと変わるため、14日以内に市区町村役場の年金課などの窓口で変更届出を行う必要があります。

②厚生年金の手続

会社員などの厚生年金保険の被保険者が死亡したときは、事業主は5日以内に厚生年金保険被保険者資格喪失届を年金事務所に提出しなければなりません。

③年金受給権者死亡届の提出

年金を受け取っている受給者がなくなった場合には、遺族は10日以内(国民年金は14日以内)に年金事務所に「年金受給権死亡届(報告書)」を提出する必要があります。
死亡の届出を怠ると、故人が受給していた老齢年金の入金が継続され、後で返還を求められることがありますので注意してください。

6.住民票の除票の取得

市区町村長は、その市区町村の住民基本台帳に記載されている者が死亡したときは、その者の住民票を消除しなければならないとされています。
消除された住民票を「住民票の除票」と言います。住民票の除票は、消除した日から5年間市区町村に保存されます。死亡届出が受理されると、市区町村長が消除します。
住民票の除票は死亡の事実を公的に証明するものになります。戸籍謄本にも死亡の年月日は記載されるのですが、住所は記入されていません。
住所が記載されている死亡した事実がわかる書類が住民票の除票なのです。
市区町村役場の戸籍・住民登録窓口で、死亡届出の提出後、死亡から5年以内に、役所の所定の申請書を提出して住民票の除票を取得しておきましょう。

今回はここまでにしたいと思います。