こんにちは!

今回から3回にわたり、遺産分割によって、相続財産を相続人名義に変えるためにはどのようにしなければならないのかを見ていきたいと思います。

 

今回はまず、不動産の相続登記ということについて見ていきます。

 

相続が開始すると同時に、相続財産は共同相続人の共有になり、遺産分割をしたときに、はじめて個々の相続人に帰属します。

したがって、相続した不動産はいったん「共同相続登記」をしておいて、遺産分割をしたときに、その不動産を取得した相続人の単独所有の登記をすればよいことになります。

 

しかし、遺産分割の効果は相続開始時にさかのぼりますし、登記費用などを省略するために、

実務的には共有の登記はしないでおいて、分割したときに被相続人から直接特定の相続人に相続登記をする方法が良く行われています。

 

それではなぜ、共同相続登記が行われるのかという理由ですが、

遺産分割協議はまとまらないが、その不動産を売却することは合意ができているという場合は、共同相続登記をすればすぐに売却できるので、共同相続登記が行われることがあります。

 

それでは、実務的に行われることの少ない共同相続登記と、共同相続登記をしたあと遺産分割がなされその登記をする場合は省略し、

被相続人名義から直接登記する場合に必要な書類を説明させていただきます。

共同相続登記を経ずに、被相続人名義から直接、遺産分割にしたがった登記をする場合は、

①被相続人の除籍謄本

②戸籍謄本など相続人全員を証明する書類

③被相続人の戸籍附票

④遺産分割協議書

⑤申請人の住民票

⑥相続人全員の印鑑証明書

⑦固定資産税評価証明書

などが必要になります。

なお、弊職の行政書士は、相続登記を代理して行うことはできませんので、相続人ご本人が登記申請するか、司法書士に手続代理を依頼する必要があります。

 

 

そして、登記実務上、遺産分割協議書の代わりによく用いられる書類として、「相続分なきことの証明証」というものがあります。

これは、相続人のうちの一人が、特定の不動産を単独で取得しようと思ったときに、他の相続人に対して、

相続の登記をしないといけないから、この証明書に実印を押して、印鑑証明書をつけて送ってください」と依頼するものです。

 

その文面は、「私はすでに相続分を超過する贈与を受けているので、被相続人の死亡による相続については、相続する相続分はないことを証明します。」となっているのが普通です。

 

すなわち、相続分を算定する場合、特別受益分があれば控除されることを説明しましたが、特別受益を証明する書類になります。

 

頼まれた方は、その内容を理解しないまま印を押してしまうことが多いです。

 

しかし、これを渡すと、本当は何ももらってないにもかかわらず、遺産分割協議がなされないまま、事実上の相続放棄をしたと同様に扱われて不動産の名義が変更されてしまうので、十分注意しなければなりません。

「騙し討ちにあった!」ということのならないように気をつけましょう。

 

このように「相続分なきことの証明書」は後々トラブルのもととなりますので、不動産移転登記に際しては遺産分割協議書を作成すべきということになります。

今回はここまでにしたいと思います。