建設業者の地位の承継について
【現 状】
建設業者が事業の譲渡、会社の合併、分割を行った場合、譲渡、合併後又は分割後の会社は新たに建設業許可を取り直すことが必要。
⇩
新しい許可が下りるまでの間に建設業を営むことができない空白期間が生じ、不利益が生じていた。
⇩
【改正後】
今回の改正建設業法において、事業承継の規定を整備し、事前の許可を受けることで、建設業の許可を承継することが可能に。
(※個人事業主の承継についても同様の規定を整備)
承継のスキームについて
例:建設業者A(建築(特))の地位を建設業者B(土木(特)・大工(般))が承継する場合
①建設業者Bが許可行政庁に対し、事前に事業譲渡等について認可を申請
⇩
②許可行政庁において、申請の内容について審査
⇩
③許可行政庁は、建設業者Bに対し認可についての通知(不認可の場合はその旨を通知)
※もともとの許可に付されていたいた条件の変更や新たな条件の付与が可能)
⇩
⓸事業譲渡の日に建設業者Bは建設業者Aから建設業の許可についても承継し、土木(特)、建築(特)、大工(般)の許可業者になる
➡空白期間がなく、建設業者Bが建設業者Aの許可を受けていた建設業についても営業可能
承継規定の対象外とするケース
♦承継OKのケース
(地位承継の前)
(承継元)・土木(特)・鉄筋(般)・舗装(般)・造園(般)
↓
(承継先)・建築(特)・鉄筋(般)・大工(般)・左官(般)
⇩
(地位承継の後)
(承継先)・土木(特)・建築(般)・鉄筋(般)・舗装(般)・造園(般)・大工(般)・左官(般)
※異業種間の承継は可。
※同一業種でも、一般・特定区分が同じなら承継は可。
※一部のみの承継は不可。
♦承継NGのケース①
(地位承継の前)
(承継元)・土木(特)・鉄筋(特)・舗装(般)・造園(般)
↓
(承継先)・建築(特)・鉄筋(般)・大工(般)・左官(般)
⇩
(地位承継の後)
一般建設業の許可を受けている者が、その許可に係る建設業のいずれか同一種類の建設業に係る特定建設業の許可を受けている者の地位を受け継ぐようなケースは、この制度による承継の対象外➡承継先が鉄筋業(一般)を事前に廃業することで承継可
♦承継NGのケース②
(地位承継の前)
(承継元)・土木(特)・鉄筋(般)・舗装(般)・造園(般)
↓
(承継先)・建築(特)・鉄筋(特)・大工(般)・左官(般)
⇩
(地位承継の後)
一般建設業の許可を受けている者が、その許可に係る建設業のいずれか同一種類の建設業に係る特定建設業の許可を受けている者の地位を受け継ぐようなケースは、この制度による承継の対象外➡承継先が鉄筋業(一般)を事前に廃業することで承継可
許可期間について
➡事業譲渡の日に承継する許可、元々持っている許可の両方の建設業の許可の有効期間が更新
建設業者A(承継元)…建築(特)残り3年
↓
建設業者B(承継先)…土木(特)残り2年
大工(般)残り2年
とび・土(般)残り1年
⇩
事業譲渡の日
建設業者B…土木(特)
建築(特)
大工(般)
とび・土(般) すべて残り5年
〇建設業法
(譲渡及び譲受け並びに合併及び分割)
第十七条の二 建設業者が許可に係る建設業の全部(以下単に「建設業の全部」という。)の譲渡を行う場合(当該建設業者(以下この条において「譲渡人」という。)が一般建設業の許可を受けている場合にあつては譲受人(建設業の全部を譲り受ける者をいう。以下この条において同じ。)が当該一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を、譲渡人が特定建設業の許可を受けている場合にあつては譲受人が当該特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合を除く。)において、譲渡人及び譲受人が、あらかじめ当該譲渡及び譲受けについて、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、譲受人は、当該譲渡及び譲受けの日に、譲渡人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。
一譲渡人が国土交通大臣の許可を受けているとき国土交通大臣
二譲渡人が都道府県知事の許可を受けているとき当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
イ譲受人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
ロ譲受人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。
2 建設業者である法人が合併により消滅することとなる場合(当該建設業者である法人(以下この条において「合併消滅法人」という。)(合併消滅法人が二以上あるときは、そのいずれか)が一般建設業の許可を受けている場合にあつては当該一般建設業の許可を受けている合併消滅法人以外の合併消滅法人又は合併存続法人(合併後存続する法人をいう。以下この条において同じ。)が当該一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を、合併消滅法人(合併消滅法人が二以上あるときは、そのいずれか)が特定建設業の許可を受けている場合にあつては合併存続法人が当該特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合を除く。)において、合併消滅法人等(合併消滅法人、合併により消滅することとなる法人であつて合併消滅法人でないもの及び合併存続法人をいう。)が、あらかじめ当該合併について、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、合併存続法人又は合併により設立される法人は、当該合併の日に、合併消滅法人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。
一合併消滅法人(合併消滅法人が二以上あるときは、そのいずれか)が国土交通大臣の許可を受けているとき国土交通大臣
二合併消滅法人が二以上ある場合において、当該合併消滅法人の全てが都道府県知事の許可を受けており、かつ、当該許可をした都道府県知事が同一でないとき国土交通大臣
三合併消滅法人が二以上ある場合において当該合併消滅法人の全てが同一の都道府県知事の許可を受けているとき、又は合併消滅法人が一である場合において当該合併消滅法人が都道府県知事の許可を受けているとき当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
イ合併存続法人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
ロ合併存続法人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。
3 建設業者である法人が分割により建設業の全部を承継させる場合(当該建設業者である法人(以下この条において「分割被承継法人」という。)(分割被承継法人が二以上あるときは、そのいずれか)が一般建設業の許可を受けている場合にあつては当該一般建設業の許可を受けている分割被承継法人以外の分割被承継法人又は分割承継法人(分割により建設業の全部を承継する法人をいう。以下この条において同じ。)が当該一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を、分割被承継法人(分割被承継法人が二以上あるときは、そのいずれか)が特定建設業の許可を受けている場合にあつては分割承継法人が当該特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合を除く。)において、分割被承継法人等(分割被承継法人、分割によりその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を承継させる法人であつて分割被承継法人でないもの及び分割承継法人をいう。)が、あらかじめ当該分割について、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、分割承継法人は、当該分割の日に、分割被承継法人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。
一分割被承継法人(分割被承継法人が二以上あるときは、そのいずれか)が国土交通大臣の許可を受けているとき国土交通大臣
二分割被承継法人が二以上ある場合において、当該分割被承継法人の全てが都道府県知事の許可を受けており、かつ、当該許可をした都道府県知事が同一でないとき国土交通大臣
三分割被承継法人が二以上ある場合において当該分割被承継法人の全てが同一の都道府県知事の許可を受けているとき、又は分割被承継法人が一である場合において当該分割被承継法人が都道府県知事の許可を受けているとき当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
イ分割承継法人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
ロ分割承継法人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。
4 第七条及び第八条の規定は一般建設業の許可を受けている譲渡人、合併消滅法人又は分割被承継法人(以下この条において「譲渡人等」という。)に係る前三項の認可について、第八条及び第十五条の規定は特定建設業の許可を受けている譲渡人等に係る前三項の認可について、それぞれ準用する。この場合において、第七条及び第八条中「許可を受けようとする者」とあり、並びに第十五条中「特定建設業の許可を受けようとする者」とあるのは、「第十七条の二第一項に規定する譲受人、同条第二項に規定する合併存続法人若しくは合併により設立される法人又は同条第三項に規定する分割承継法人」と読み替えるものとする。
5 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項から第三項までの認可をするに際しては、当該認可をしようとする承継に係る建設業の許可又は譲受人、合併存続法人若しくは分割承継法人が受けている建設業の許可について第三条の二第一項の規定により付された条件(この項(次条第三項において準用する場合を含む。)の規定により変更され、又は新たに付された条件を含む。第二十九条第二項において同じ。)を取り消し、変更し、又は新たに条件を付することができる。この場合においては、第三条の二第二項の規定を準用する。
6 第一項から第三項までの規定により譲渡人等の建設業者としての地位を承継した譲受人等(建設業の全部を譲り受けた者、合併存続法人若しくは合併により設立
された法人又は分割により建設業の全部を承継した法人をいう。以下この条において同じ。)が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、当該承継の日に、譲受人等は、当該各号に定める建設業について国土交通大臣の許可を受けたものとみなし、譲受人等に係る都道府県知事の許可は、その効力を失う。
一国土交通大臣の許可を受けている譲受人等が都道府県知事の許可を受けている譲渡人等の地位を承継したとき当該都道府県知事の許可に係る建設業(当該国土交通大臣の許可に係る建設業と同一の種類のものを除く。)
二都道府県知事の許可を受けている譲受人等が国土交通大臣の許可を受けている譲渡人等の地位を承継したとき当該都道府県知事の許可に係る建設業(当該国土交通大臣の許可に係る建設業と同一の種類のものを除く。)
三都道府県知事の許可を受けている譲受人等が他の都道府県知事の許可を受けている譲渡人等の地位を承継したとき当該都道府県知事の許可に係る建設業及び当該他の都道府県知事の許可に係る建設業
四建設業の許可を受けていない譲受人等が、同時に、国土交通大臣の許可を受けている譲渡人等の地位及び都道府県知事の許可を受けている譲渡人等の地位を承継したとき当該都道府県知事の許可に係る建設業(当該国土交通大臣の許可に係る建設業と同一の種類のものを除く。)
五建設業の許可を受けていない譲受人等が、同時に、都道府県知事の許可を受けている二以上の譲渡人等の地位を承継したとき(当該許可をした都道府県知事が同一であるときを除く。) 当該都道府県知事の許可に係る建設業
7 第一項から第三項までの規定により譲受人等が譲渡人等の建設業者としての地位を承継した場合における承継許可等(当該承継に係る建設業の許可及び当該譲受人等が受けている建設業の許可(当該承継前に自ら受けたものに限る。)をいう。以下この項において同じ。)に係る許可の有効期間については、当該承継の日における承継許可等に係る許可の有効期間の残存期間にかかわらず、当該承継の日の翌日から起算するものとする
相続について
①建設業者の死亡後30日以内に、許可行政庁に対して相続の認可を申請
※相続しない場合は廃業届等を提出
※認可の申請をした場合、認可の申請に対する処分があるまでは、相続人は建設業の許可を受けたものとして扱う
②許可行政庁において、申請の内容について審査
③許可行政庁は相続人に対して認可について通知(不認可の場合はその旨を通知)
※元々の許可に付されていた条件の変更や新たな条件の付与が可能
※譲渡・合併・分割の許可の条件付与の規定、有効期間の規定は相続について準用される
〇建設業法
(相続)
第十七条の三 建設業者が死亡した場合において、当該建設業者(以下この条において「被相続人」という。)の相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により被相続人の営んでいた建設業の全部を承継すべき相続人を選定したときは、その者。以下この条において単に「相続人」という。)が被相続人の営んでいた建設業の全部を引き続き営もうとするとき(被相続人が一般建設業の許可を受けていた場合にあつては相続人が当該一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を、被相続人が特定建設業の許可を受けていた場合にあつては相続人が当該特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合を除く。)は、その相続人は、国土交通省令で定めるところにより、被相続人の死亡後三十日以内に次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者に申請して、その認可を受けなければならない。
一被相続人が国土交通大臣の許可を受けていたとき国土交通大臣
二被相続人が都道府県知事の許可を受けていたとき当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
イ相続人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
ロ相続人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。
2 相続人が前項の認可の申請をしたときは、被相続人の死亡の日からその認可を受ける日又はその認可をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした建設業の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。
3 第七条及び第八条の規定又は同条及び第十五条の規定は一般建設業の許可を受けていた被相続人又は特定建設業の許可を受けていた被相続人に係る第一項の認可について、前条第五項の規定は第一項の認可をしようとする承継に係る建設業の許可又は相続人が受けている建設業の許可について、それぞれ準用する。
4 第一項の認可を受けた相続人は、被相続人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。
5 前条第六項及び第七項の規定は、前項の規定により被相続人の建設業者としての地位を承継した相続人について準用する。