主任技術者の配置義務の見直し①

【現状】
本来であれば一次下請Aが置く主任技術者による技術上の施工管理のみで適正施工が確保される場合であっても、第26条の規定により全ての二次下請、三次下請(B~E)がそれぞれ主任技術者を置くことが必要。

一次下請A者の直用の労働者が不足しており、その不足を補うため同様の建設工事の内容をB社に再下請。(B社でも足りない場合はさらにD社、E社にも再下請)

発注者
 ⇩
元請X社〈監理又は主任技術者〉
 ⇩
一次下請A社〈主任技術者〉
 ⇩下請            
二次下請B社〈主任技術者〉  二次下請C社〈主任技術者〉
 ⇩再下請
三次下請D社〈主任技術者〉  三次下請E社〈主任技術者〉

【改正後】

一次下請A社及び二次下請B、D、Eは、その合意により、Aが自ら工事現場におく主任技術者が、その行うべき技術上の施工管理と併せて、本来であればB、D、Eの主任技術者が行うべき技術上の施工管理を行うこととしたときは、B、D、Eは、当該工事現場に主任技術者を置くことを要しないこととする。
(※)適用対象は、下請代金の額が一定の金額未満の建設工事(土木一式工事及び建築一式工事を除く。)のうち政令で定める特定専門工事に限定

発注者
 ⇩
元請X社〈監理又は主任技術者〉
 ⇩
一次下請A社〈主任技術者〉
 ⇩            
二次下請B社〈主任技術者✖〉  二次下請D社〈主任技術者✖〉  二次下請E社〈主任技術者✖〉  二次下請C社〈主任技術者〉

効果
元請負人:自社施工分を超える業務量に対応しやすくなる
下請負人:受注の機会を確保しやすくなる + 建設業における重層下請構造の改善に寄与

主任技術者の配置義務の見直し②

〈元請の主任技術者が一括で施工管理をする場合〉

発注者
 ⇩
元請X社〈主任技術者〉
 ⇩下請
一次下請A社〈主任技術者〉
 ⇩再下請            
二次下請B社〈主任技術者〉  二次下請C社〈主任技術者〉

発注者
 ⇩
元請X社〈主任技術者〉
 ⇩
一次下請A社〈主任技術者✖〉  一次下請B社〈主任技術者✖〉  一次下請C社〈主任技術者✖〉

〈二次の主任技術者が一括で施工管理をする場合〉※三次以下でも同様の形で施工可能

発注者
 ⇩
元請X社〈監理又は主任技術者〉
 ⇩下請
一次下請A社〈主任技術者〉
 ⇩再下請            
二次下請B社〈主任技術者〉  二次下請C社〈主任技術者〉
 ⇩再下請            
三次下請D社〈主任技術者〉  三次下請E社〈主任技術者〉

発注者
 ⇩
元請X社〈監理又は主任技術者〉
 ⇩下請
一次下請A社〈主任技術者〉
 ⇩再下請            
二次下請B社〈主任技術者〉  二次下請C社〈主任技術者〉
 ⇩再下請            
三次下請D社〈主任技術者✖〉  三次下請E社〈主任技術者✖〉

主任技術者の配置義務の見直し③(活用にあたっての要件)

■対象とする工事
 政令で定める特定専門工事は、土木一式工事又は建築一式工事以外の建設工事のうち、その施工技術が画一的であり、かつ、その施工の技術上の管理の効率化を図る必要があるものとして、次の工事を想定。
 ・鉄筋工事
 ・型枠工事

■下請契約の請負代金の額
 政令で定める額未満➡主任技術者の専任義務が3,500万円以上となっていることを踏まえ規定する予定

■手続き
 工事を注文する者(一次下請)と工事を請け負う者(二次下請)が以下の事項を記載した書面において合意する必要がある。
 この際、一次下請けは注文者の書面による承諾を得る必要がある。
 ・特定専門工事の内容
 ・上位下請の置く主任技術者の氏名
 ・その他国道交通省令で定める事項

■配置される主任技術者の要件
 上位下請(一次下請)の主任技術者は、下記の要件を満たす必要がある。
 ・当該特定専門工事と同一の種類の建設工事に関し一年以上指導監督的な実務の経験を要すること。
 ・当該特定専門工事の工事現場に専任で置かれること。

■再下請の禁止
 主任技術者を置かないこととした下請負人(二次下請)は、その下請負に係る建設工事を他人に請け負わせてはならない。
 ➡違反した場合、監督処分の対象となる。※主任技術者を置いている(制度を利用していない)下請は再下請可能。

○建設業法
第二十六条の三 特定専門工事の元請負人及び下請負人(建設業者である下請負人に限る。以下この条において同じ。)は、その合意により、当該元請負人が当該特定専門工事につき第二十六条第一項の規定により置かなければならない主任技術者が、その行うべき次条第一項に規定する職務と併せて、当該下請負人がその下請負に係る建設工事につき第二十六条第一項の規定により置かなければならないこととされる主任技術者の行うべき次条第一項に規定する職務を行うこととすることができる。この場合において、当該下請負人は、第二十六条第一項の規定にかかわらず、その下請負に係る建設工事につき主任技術者を置くことを要しない。
2 前項の「特定専門工事」とは、土木一式工事又は建築一式工事以外の建設工事のうち、その施工技術が画一的であり、かつ、その施工の技術上の管理の効率化を図る必要があるものとして政令で定めるものであつて、当該建設工事の元請負人がこれを施工するために締結した下請負契約の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額。以下この項において同じ。)が政令で定める金額未満となるものをいう。ただし、元請負人が発注者から直接請け負つた建設工事であつて、当該元請負人がこれを施工するために締結した下請契約の請負代金の額が第二十六条第二項に規定する金額以上となるものを除く。
3 第一項の合意は、書面により、当該特定専門工事(前項に規定する特定専門工事をいう。第六項において同じ。)の内容、当該元請負人が置く主任技術者の氏名その他の国土交通省令で定める事項を明らかにしてするものとする。
4 第一項の元請負人は、同項の合意をしようとするときは、あらかじめ、注文者の書面による承諾を得なければならない。
5 注文者は、前項の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同項の元請負人の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより、同項の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、当該注文者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。
6 第一項の元請負人が置く主任技術者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならない。
 一 当該特定専門工事と同一の種類の建設工事に関し一年以上指導監督的な実務の経験を有すること。
 ニ 当該特定専門工事の工事現場に専任で置かれること。
7 第一項の元請負人が置く主任技術者については、第二十六条第三項の規定は、適用しない。
8 第一項の下請負人は、その下請負に係る建設工事を他人に請け負わせてはならない。