監理技術者の専任の緩和 ※令和2年10月1日施行

【現状】
・建設工事の請負代金の額が3,500万円(建築一式工事に在っては7,000万円)以上である場合については、監理技術者は現場に専任の者でなければならない。

工事1
注文者 ➡   元請A社   ➡   下請B社   ➡    下請C社
      【監理技術者A】   【主任技術者】     【主任技術者】
       (専任)

工事2
注文者 ➡   元請A社   ➡   下請D社   ➡    下請E社
      【監理技術者B】   【主任技術者】     【主任技術者】
       (専任)

 

改正後】
監理技術者の職務を補佐する者として政令で定める者を専任で置いた場合には、監理技術者の兼務を認めることとする(当面2現場とする予定)。
・政令で定める者は、今回創設する技士補制度のうち、1級の技士補であって主任技術者の資格を持つ者などとすることを検討中。

工事1
注文者 ➡   元請A社   ➡   下請B社   ➡    下請C社
      【監理技術者A】   【主任技術者】     【主任技術者】
       (兼務可)
       【技士補X】
        (専任)

工事2
注文者 ➡   元請A社   ➡   下請D社   ➡    下請E社
      【監理技術者A】   【主任技術者】     【主任技術者】
       (兼務可)
       【技士補Y】
        (専任)

○建設業法
【主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条 (略)
2 (略)
3 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、第二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。ただし、監理技術者にあっては、発注者から直接当該建設工事を請負つた特定建設業者が、当該監理技術者の行うべき第二十六条の四第一項に規定する職務を補佐する者として、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者に準ずる者として政令で定める者を当該工事現場に専任で置くときは、この限りでない。
4 前項ただし書の規定は、同項ただし書の工事現場の数が、同一の特例監理技術者(同項ただし書の規定の適用を受ける監理技術者を言う。次項において同じ。)がその行うべき各工事現場に係る第二十六条の四第一項に規定する職務を行つたとしてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないものとして政令で定める数を超えるときは、適用しない。
5 第三項の規定により専任の者でなければならない監理技術者(特例監理技術者を含む。)は、第二十七条の十八第一項の規定による監理技術者資格者証の交付を受けている者であつて、第二十六条の五から第二十六条の七までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したもののうちから、これを選任しなければならない。
6 (略)

監理技術者の現場兼務について

○監理技術者は、2現場(予定)の兼務が可能となるが、監理技術者は建設工事を適正に実施するため、
 ・当該建設工事の施工計画の作成
 ・工程管理・品質管理その他の技術管理
 といった業務を引き続き担っている。
 ➡監理技術者に求められる責務は従前と変わっておらず、これらの責務が適正に実施されるよう監理技術者を補佐する者を適切に指導することが求められる。

○建設業法
(主任技術者及び監理技術者の職務等)
第二十六条の四 主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。
2 工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者及び監理技術者がその職務として行う指導に従わなければならない。

主任技術者又は監理技術者の「専任」の明確化について (平成29年8月9日建設業課長通達、平成30年12月3日改正

専任について
・監理技術者等は、建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成等及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を行う役割を担っていることから、当該工事現場にて業務を行うことが基本
・請負代金の額が3千5百万円(けんちくいっしきこうじであるばあいにあっては、7千万円)以上の公共性のある施設等に関する重要な建設工事については、監理技術者等は、現場ごとに専任
専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事することを意味するものであり、必ずしも当該工事現場への常駐(現場施工の稼働中、特別の理由がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場に滞在していること)を必要とするものではない

⇓ 【背景】技術者の継続的な技術研鑽の重要性 + 建設業の働き方改革の推進の観点を追加し、改正

技術研鑽のための研修、講習、試験等への参加、休暇の取得、その他の合理的な理由により、専任の監理技術者等が短期間工事現場を離れることは差しつかないことを明確化
【前提条件】
・適切な施工ができる体制(※)の確保
・その体制について、注文者の了解
(※)適切な施工ができる体制の例
・必要な資格を有する代理の技術者の配置
・工事の品質確保等に支障のない範囲内において、連絡を取り得る体制及び必要に応じて現場に戻り得る体制の確保
【留意事項等】※新規追加
監理技術者等が当該建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者であることに変わりはない
監理技術者等が担う役割に支障が生じないようにする
監理技術者等の研修等への参加や休暇の取得等を不用意に妨げることのないよう留意(現場に戻り得る体制の確保は必ずしも要しない等)
建設業におけるワークライフバランスの推進や、女性の一層の活躍の観点に留意(監理技術者等が育児等のために短時間現場を離れることが可能となるような体制の確保等)