次に、国籍法8条の帰化条件について説明いたします。

 国籍法8条に該当する外国人については、6条、7条の特例該当者に比べて、日本国民・我が国と密接な地縁・地縁関係を有する者とされ、5条に規定する条件のうち、居住要件、能力条件及び生計条件が緩和されています。

 その結果、国籍法8条に該当する外国人が具備すべき条件は、国籍法5条に規定する条件のうち、重国籍防止条件、素行条件及び不法団体条件のみということになります。

 国籍法8条に該当する外国人は、次のとおりです。

 ⓵ 日本国民の子(養子の除く)で日本に住所を有する者

 父母の双方が日本国民である必要はなく、父母の一方が日本国民であれば足ります。

 日本国民であるかどうかは、帰化申請の時点で判断されますが、父又は母が死亡の際に日本国民であった場合も含まれます。

 ⓶ 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であった者

 日本国民との養親子関係が現に継続していることを要します。養子縁組後に養親が日本国籍を取得した場合も、これに該当します。

 なお、成年養子は除外されています。

 ⓷ 日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有する者

 日本国籍を有していた者であることを要しますが、国籍の喪失の原因は問いません。

 したがって、自己の志望によって外国の国籍を取得したことにより日本の国籍を失った場合、日本の国籍の不留保により日本国籍を失った場合なども該当することになります。

 もっとも、日本の国籍の不留保により日本国籍を失った場合には、該当者が20歳未満で日本に住所を有するときは、届出によっても日本国籍を取得することができMす。

 ⓸ 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有する者

 無国籍の子の発生を防止するために、国籍法2条3号において、子が日本において生まれた場合で、父母がともに知れないか、又は父母が無国籍であるときは、その子に日本国籍付与することとしています。

 しかし、この規定は、子が日本で生まれても、両親の双方又は一方が外国の国籍を有している場合には、適用されません。

 さらに、この場合、父又は母の属する国の法制の如何によっては、その国の国籍も取得することができず、無国籍となる場合があります。

 したがってこの規定は、そのような無国籍者が日本に帰化する場合について、帰化条件を緩和するために設けられたものです。