介護分野はこれまでの認可業種とは異なり、人とのコミュニケーションが求められます。
そのためコミュニケーションのベースとして日本語レベルが一定水準にあることが重視されます。
そのため政府は、介護領域において求められる言語レベルについて、入国時の最低要件を日本語能力試験「N4」合格相当としつつ、「N3」合格相当が望ましいと定めました。

日本語能力試験はN1~N5までの5段階あり、それぞれの難易度は次のとおりです。
N1…幅広い話題のニュースや講義、新聞の論説などを理解できる
N2…日常よりも幅広い場面で会話ができ、新聞記事を理解できる
N3…日常会話ができ、新聞の見出しなどから、情報の概要をつかめる
N4…ややゆっくりの日常会話がわかり、身近な話題の文章を理解できる
N5…ゆっくりで短い会話なら必要な情報を聞き取れ、ひらがななどの文章はわかる

2017年に始まった介護の技能実習制度では、入国時、N4に合格し、1年後にN3に合格できなければ帰国する必要がありました。

新たな基準では、1年後にN3に合格できなくても、さらに引き続き2年間の在留を可能とし、N4のままでも計3年間は滞在できるようになります。

この介護実習生の日本語能力の基準緩和により、技能実習生から4月に新設される在留資格「特定技能」の介護分野へ移行しやすくなるといえます。

平成31年3月20日 読売新聞

厚生労働省が、介護分野の技能実習生の日本語要件を緩和することで、実習生の受け入れ増加を目指すことが分かった。厚労省が定める基準を改正し、平成31年3月中に告示する。実習生は3年以上の経験を積むことで、4月に新設される在留資格「特定技能」の介護分野で働くことが可能になる。
2017年に介護の技能実習制度では、入国時、日本語能力試験でN1~N5の5段階のうち、2番目に簡単なN4(ややゆっくりの日常会話を理解できる)に合格し、1年後にN3(日常会話を理解できる)に合格できなければ帰国する必要がある。
新たな基準では、1年後にN3に合格できなくでも、さらに2年間の在留を認め、N4のままでも計3年間は滞在できるようになる。ただし、「1年目修了時の介護に関する技能試験に合格」などの条件は維持する。
昨年10月末現在で来日した実習生は250人程度にとどまっており、1年後にN3合格という条件が厳しいことが原因の一つとされている。厚労省の推計では25年度には約245万人の介護職員が必要になる一方、約34万人が不足すると見込まれている。