【トピックス】外国人受け入れ拡大に関する3文書の要旨

政府は平成30年12月25日の閣議で、外国人就労の拡大を狙った新在留資格「特定技能」の平成31年4月導入に向け、制度の詳細を定めた「基本方針」と「運用方針」を決め、共生社会実現のための「総合的対応策」も関係閣僚会議で了承しました。これらの外国人受け入れ拡大に関する3文書の要旨は次のとおりです。
(平成30年12月25日読売新聞より)

新制度に関する「基本方針

【制度の意義】
中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取り組みを行っても、なお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築する。

【分野】
特定技能の在留資格をもって本邦に在留する外国人が、大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することとならないようにするために、必要な措置を講ずるよう努める。
分野別運用方針において、現在、当該分野における人手不足が深刻であり、当該分野の存続・発展のために外国人の受け入れが必要であることを有効求人倍率、雇用動向調査その他の公的統計等により具体的に示す。
日本人の雇用機会の喪失及び処遇の低下等を防ぐ観点並びに外国人の安定的かつ円満な在留活動を可能とする観点から、分野別運用方針において、当該分野における向こう5年間の受け入れ見込み数について示し、人材不足の見込み数と比較して過大でないことを示さなければならない。

【求められる人材】
▶1号特定技能外国人
特定技能1号で在留する外国人の配偶者及び子は、在留資格は基本的に付与しない。在留することができる期間は、通算して5年を超えることができない。
相当程度の知識又は経験を必要とする技能が求められる。ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準が求められる。
▶2号特定技能外国人
特定技能2号で在留する外国人は、在留期間の更新に上限を付さず、また、その配偶者及び子に要件が満たされれば在留資格を付与する。
熟練した技能が求められる。例えば自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、または監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる水準のものをいう。

【関係行政機関の事務調整】
法務省、厚生労働省等の関係機関は、連携をさらに強化し、国内における悪質な仲介業者(ブローカー)等の排除を徹底する。悪質な仲介業者の介在を防止するため、2国間取り決めなどの政府間文書の作成等、必要な方策を講ずる。
分野別運用方針に記載する5年間の受け入れ見込み数については、大きな経済情勢の変化が生じない限り、受け入れの上限として運用する。

【その他】
特定技能所属機関または登録支援機関が支援の実施主体となり、外国人に対する生活オリエンテーション、日本語習得の支援、相談・苦情対応、外国人と日本人との交流の促進に係る支援などを行う。
雇用形態は、フルタイムとした上で、原則として直接雇用とする。派遣は例外的に認める。
基本方針は、出入国管理・難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行後2年を目途として検討を加え、必要があるときは見直しを行う。

受け入れ業種ごとの「運用方針

【介護業】
1号特定技能外国人は、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数を上限とする。介護福祉士養成課程の修了者は、技能と日本語の試験は免除する。

【ビルクリーニング業】
特定技能1号の技能試験は、多数が利用する建築物の内部を対象に、建材や汚れの違いに対し、自らの判断により洗剤や用具を適切に選択して清掃作業が遂行できるレベル。

【素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業】
経済産業省は3分野の特定技能所属機関、業界団体、その他の関係者で構成される「製造業外国人受入れ協議会(仮称)」を組織する。
特定技能所属機関は、協議会が行う指導、資料の要求、現地調査に対し、必要な協力を行うこと。

【建設業】
季節や工事受注状況による仕事の繁閑で報酬が変動する実態があり、外国人には適正な就労環境確保への配慮が必要。
2号特定技能外国人は、建設現場で複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験を要件とする。

【造船・舶用工業】
2号特定技能外国人は、複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者としての実務経験を要件とする。

【自動車整備業】
自動車の点検整備が適切に実施されない場合、事故に至るおそれがある。外国人を受け入れる自動車整備工場には地方運輸局長の認証の取得を求める。

【航空業】
国土交通省は、航空分野の特定技能所属機関、業界団体、その他の関係者により構成される協議会を組織する。
特定技能所属機関は、問題発生時の対応や、外国人に対する転職支援などについて必要な協力を行う。

【宿泊業】
各地域の宿泊施設による(外国人労働者に対する)生活支援の充実を促すことや、地域の宿泊施設から送り出し国に対し、地域の魅力の情報発信を促し、地方部での外国人材の確保を図る。

【農業、漁業】
作目や魚種によって繁忙期・閑散期の時期が異なる。現場のニーズに対応するため、直接雇用に加えて派遣形態で外国人を受け入れることが不可欠。

【飲食料品製造業、外食業】
外国人の就労が大都市圏等の地域に過度に集中することがないよう、技能の国内試験は大都市に限らず、全国10か所程度で実施する。
人手不足が顕著な地域には、試験の開催場所・頻度の調整に努める。

共生のための「総合的対応策

【暮らしやすい地域社会】
外国人が集住する市町村100か所で、地方公共団体が情報提供及び相談を行う一元的窓口「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」の設置を支援。行政機関の相談窓口で自動翻訳アプリ等を活用しながら、相談ニーズに適切に対応できる多言語対応を進める。行政・生活情報提供は、SNS利用を想定した対応を推進する。

【医療・保険・福祉】
電話通訳及び多言語翻訳システムの利用を促進し、外国人患者受け入れに関するマニュアルを整備。地域の基幹的医療機関での医療通訳や医療コーディネーターの配置、院内案内図の多言語化を支援。「医療通訳育成カリキュラム・テキスト」を作成し、医療通訳の養成を促進。薬局に関する情報について、厚生労働省で全国統一的なサイトを構築。子育て家庭や妊産婦が保育施設などを円滑に利用できるよう、多言語化。

【災害・事件・事故】
気象庁ホームページ、緊急地震速報や「Jアラート」を発信するアプリの多言語化。外国人被災者のニーズとマッチングを行う「災害時外国人支援情報コーディネーター」の養成研修。119番通報で同時通訳の体制を整備。110番通報で多言語翻訳機能を有する装備資機材を導入。民間通訳を同行した巡回の実施。消費者生活相談の多言語化。日本司法支援センター(法テラス)の「多言語情報提供サービス」の利便性向上。生活困窮者に対する相談窓口への通訳設置。

【住宅確保】
受入れ企業は自ら住宅確保を行うほか、保証人として入居をサポート。住宅確保要配慮者への支援を行う全国の居住支援協議会に協力を要請。不動産関連団体は、外国人の無料相談窓口を充実。

【金融・通信】
全金融機関で特定技能及び技能実習の外国人が口座を開設できるよう要請。受け入れ企業は口座開設を支援。多言語対応の充実や、口座開設にあたっての在留カードによる本人確認の明確化など、銀行取引の利便性を向上。携帯電話事業者に対し、日本語を話せない外国人が契約を阻害されることがないよう、多言語化を要請。

【教育】
日本語教室空白地域の解消のため、地方公共団体に対する教室開設のためのアドバイザー派遣等で支援。情報通信技術(ICT)を活用した日本語学習教材の開発・提供。日本語教師のスキルを証明する新たな資格を整備。公立学校で、日本語指導補助者や母語支援員の活用等の指導体制を構築。外国人児童、生徒の就学実態の把握を促進。

【労働環境】
都道府県労働局と労働基準監督署の「外国人労働者相談コーナー」や「相談ダイヤル」を増設し、多言語化。全国のハローワークで多言語対応の相談体制を整備。ハローワークは外国人が応募しやすい求人の確保を行い、転職も支援。

【社会保険】
外国人の社会保険への加入促進。医療保険の適正利用のため、健康保険の被扶養者や国民年金第3号被保険者において原則、国内居住という要件を導入。留学生や海外赴任に同行する家族など国内に生活の本拠がないとはいえないケースなど、一定の例外を設ける。

【悪質仲介業者の排除】
外国人材の送り出しが想定される9か国(ベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴル)と2019年3月までに、悪質なブローカーの排除を目的に情報共有の枠組み構築を目指す2国間政府文書の作成を目指す。法務省、厚生労働省、警察などは、悪質な仲介業者の情報を相互に提供。

【在留資格の強化】
在留外国人について業種・職種・在留資格別等の就労状況を正確に把握する仕組みを構築。円滑な入国審査と厳格な入国管理を高度な次元で両立させ、機能的な在留管理等を実施するため、出入国在留管理庁を創設。