第29回 遺言①(遺言の必要性とその内容の適切性)

こんにちは!

今回より「遺言」について見ていきたいと思います。

 

今回は、遺言の必要性とその内容の適切性から見ていきます。

 

最近では、遺産分割をめぐる紛争が多発しています。

親の財産を分けてもらうことを期待する相続人が増えていることも原因なのかもしれません。

個人主義が浸透したことも影響しているのでしょう。

 

いずれにせよ、冷静に物事を考えられるうちに、「将来の紛争を予防するための」遺言書を残しておくことが大切になってきます。

遺産分割でもめている当事者に限って、分割でもめるなんて夢にも思わなかったとよく言うものです。

遺産相続では、法定相続よりも遺言による相続が優先されるので(遺言優先の原則)、「遺言書さえあれば・・・」こうした相続のトラブルを十分に防ぎ得る場合があります。

 

そして遺言書は、後に説明する方式にしたがったものでなければ無効になります(遺言の要式性)。

たとえば臨終前に子供たちを集めて、財産の分け方を口頭で指定しても法的には遺言とは言えません。

子供たちが皆その遺志を尊重すればもちろんよいのですが、ひとりでも反対する者がいると、その遺志どおりにはいかなくなってしまいます。

遺言をしておかなければならない所以です。

 

また、あなたの財産を、大切な家族にあなたの遺志どおりに譲るために、遺言はとても重要なものになります。

遺言がなかったために、財産をあげたいと思っていた人に財産が渡らなかったり、反対に、遺言があったおかげで、壊れかけた家族の絆を繋ぎとめたケースもあります。

家族の争いを未然に防ぐことができるのは、遺言があるからなのです。

 

遺言は元気なうちはすることができます。

しかし、年齢を重ねるとどんどんすることができにくくなります。

認知症になってしまっては遺言はすることもできません。

遺言をすることで胸のつかえが取れ、安心した老後を過ごせるようになります。

遺言は心安らかに長生きするためにするものということもできます。

 

そして遺言は、できるだけすべての相続人が納得できる内容であることが望ましいと言えます。

たとえば、長年長男と同居して長男の嫁に多大な世話になっていながら、唯一の財産である居住用不動産を嫁に行った実の娘に相続させるといったような遺言では、あとで兄弟喧嘩をせよと言っているようなものです。

また、妻がいるのに、子供が妻の面倒を見るのだからと子供だけに財産を与えるという例もありますが、年老いた妻が子供から家の明け渡しを求められるケースもあり、このような遺言は考えものであると思います。

各相続人の資産・生活状況などを考え、理性的で適切な遺言をすることが必要です。

 

 

夫が遺言書を残さないまま亡くなり、数人の子供の間で相続争いが起き、妻が巻き込まれるということがよく起こります。

この場合一番悲惨な思いをするのは残された老妻です。

子供同士が争うのを見なければなりません。

そして、遺産について争いになれば、それまで当然のように引き出せた預金が引き出せなくなり、無職の老妻にとっては生活の糧を絶たれることになってしまいます。

自分たち夫婦のお金と認識していたお金が、まったく自由にならない惨めな思いを味わいます。

さらには、主な財産が家屋敷だけという場合には、子供たちからこれを売って金で分けてくれと要求されたりして、死ぬまでここに住もうと思っていたのに、夫や子供との思い出の地まで奪われてしまうことになります。

年を取ってから老妻をこのような目にあわさないように、夫たるもの妻の老後に十分な配慮をした遺言書を残すことが、最後の愛情の証であると思います。

 

そのほかにも、このような場合は遺言書が必要です。

①子供がいない夫婦

②特に世話になっている人がいる場合

③相続人同士が不仲

④相続関係が複雑

⑤主な相続財産が不動産

⑥内縁関係の相手に財産を譲りたい

⑦病気や特に重い障害を持った子供など特に援助が必要な家族がいる

⑧未認知の子どもがいる

⑨ペットの世話をお願いしたい(負担付遺贈)

⑩相続人がいない

⑪財産を相続させたくない相続人がいる

⑫事業を継続させたい

など、遺言書があることでトラブルを防ぐことができます。

 

今回はここまでにしたいと思います。