第23回 審判前の保全処分とは?

こんにちは!

今回は、相続人間で遺産分割について争いがある場合について見ていきます。

 

今まで見てきた通り、遺産分割の方法は、相続人同士で話し合って決めるのが原則です。

しかし、遺産分割協議を行っても相続人間で合意できない場合や、そもそも話し合いすら困難な場合には、裁判所で解決する方法があります。

その場合の裁判所で解決する方法として、遺産分割調停と遺産分割審判とがあります。

 

通常、裁判所で遺産分割の解決を図る場合、遺産分割調停から始まり、調停で解決しなければ遺産分割審判という流れになります。

 

そして遺産分割事件は、相続人間の感情の対立が激しくなることから、解決までにかなりの時間を要することも時にはあります。

このような場合、事実上遺産を管理している者が遺産の一部を処分したり、隠匿することによって、今までの遺産分割の話し合いが水の泡になってしまうこともあります。

たとえば、財産分与の請求が認められそうなときに、相手方が財産を減らす目的でお金を使う、不動産が処分される、口座にある預金を移して隠すなどです。

このようなことになれば、一部のずるい者が勝つという不正義が横行してしまうことにもなりかねません。

財産以外にも、例えば親権や監護権で争っているときに、相手方が子を連れ去り逃亡しそうなときは、早急な子の引渡しが必要ですし、

婚姻費用が足りなくて生活できないなら、当面の生活が成り立つように仮払いしてもらいたいでしょう。

 

そこで、このような調停の成立や審判の確定を待っていては、権利が実現できないおそれや、権利者が重大な損害を受けるおそれがあるなど、早急に対処して欲しい事情があるときは、

「審判前の保全処分制度」を利用して、現在の状況を変更できないように法的に拘束しておくことが有効です。

権利の対象を保全(保護すること)できるようになっているのです。

 

手続方法としては、裁判所に財産の管理人を選任してもらって、相続人の一人ではなく、財産の管理人に遺産を管理してもらうという方法です。

 

その他、遺言がある場合で、遺言執行者(簡単に言うと遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人のこと)のやり方がおかしい場合は、遺言執行者の解任や職務執行停止を求めることもできます。

遺言執行者の解任を求めるためには、「任務を怠った」、あるいは「その他の正当な事由」が必要です。

「任務を怠った」とは、職務怠慢、職務違背行為がある場合です。

「その他の正当な事由」とは、長期にわたる病気、業務の急激な多忙、遠隔地移転、対立関係の一方のみへの加担などによってその任務を正常に遂行することが期待し得ない場合、などが挙げられます。

 

また、不動産の処分禁止の仮処分を行う方法もあります。

これは、当該不動産の第三者への売却を一時的に禁止する、裁判所による命令をいいます。

 

このように調停の成立や審判の確定を待っていては、権利が実現できないおそれや、権利者が重大な損害を受けるおそれがあるなど、

早急に対処して欲しい事情があるとき(調停や審判で遺産分割の手続が長期化するような場合)は、

権利の対象を保全(保護すること)できるようになっているので、審判前の保全処分を取っておくことが望ましいといえます。

今回はここまでにしたいと思います。