第21回 遺産分割の効果の発生時期・相続財産である賃貸不動産から生じる賃料債権・相続分の譲渡について

こんにちは!

今回はまず、遺産分割の効果はいつ生じるのかということについて見ていきたいと思います。

相続財産は、相続の開始と同時に共同相続人の共有となります。

その後、遺産分割協議が成立すると、分割した財産は相続開始時にさかのぼって、各相続人に帰属することになります。

例えば平成30年4月1日に亡くなった場合を考えてみましょう。

10月1日にその相続についての分割協議が整うと、各相続人はそれぞれさかのぼって4月1日からその財産が自分のものとなる訳です。

 

ただし、さかのぼって効力が生ずるといっても、

①相続開始分割に、遺産の共有持分を譲り受けた第三者や、

②共有持分について担保権を取得した第三者

の権利を害することはできません。

また、遺産分割により不動産について、法定相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記をしなければ、

分割後にその不動産に対して権利を取得した※第三者に対抗することはできません(最高裁S.46.1.26)。

※第三者に対抗することはできないとは、

効力が生じている(あるいは逆に無効である)けれども、それは当事者(とその相続人など)の間でのみ主張できることで、

それ以外の「新たに現れた利害関係人」には主張できないということです。

 

 

そして次に、相続財産が賃貸マンションなどの収益不動産である場合の、その不動産から上がる賃料収入はどのようになるのか?ということについて見ていきたいと思います。

共同相続財産である賃貸不動産から生じる賃料債権については、その不動産とは別個の財産であって、それぞれの共同相続人がその相続分に応じて分割債権として取得するので、

遺産分割の結果その不動産を取得する者が決まっても、後になされた遺産分割の影響は受けません(最高裁H.17.9.8)。

つまり、遺産分割は相続開始時にさかのぼって効力を生じることになっていますが、遺産分割で当該賃貸不動産を取得したからといって、相続開始後、遺産分割までの賃料は、不動産取得者となった相続人が取得するのではなく、共同相続人が相続分に応じて取得することとしました。

 

 

最後に、相続分は譲ることができるのか?ということについて見ていきます。

相続人は遺産分割前に、相続財産全体に対する自己の相続分を共同相続人の一人や、他の第三者譲渡することができます

そして相続分を譲り受けた者は、遺産分割手続に参加することになります。

 

このような相続分の譲渡が行われる目的は、

①相続開始から遺産分割までには相当の時間がかかるので、相続分を譲渡して換価したいという希望から行われる場合や、

②事実上の放棄をする

ために行われます。

 

そして、他の共同相続人は、「相続人以外の第三者に相続財産を渡したくない」という場合は、

1か月以内であれば、相続分を譲り受けた第三者に対して、その価額及び費用を償還して、その相続分を取戻すことができます(民法905条)。

これは譲り受けた第三者が承諾しなくても、相続分の時価と費用を提供することにより取戻すことができます。

 

ただ注意しなけれればならないのは、たとえ譲渡が無償でなされていても、取戻す為には、必ず金銭を提供する必要があります。

そして、「共同相続人の一人が他の共同相続人に譲渡した場合」は、取戻すことができません。

これは、共同相続人間で、事実上の放棄をさせる目的で、相続分の譲渡が使われることがあります。

つまり、相続分の譲渡を受けることにより、譲渡した人の相続を事実上放棄させるわけです。

 

少し難しい範囲になりましたが、落ち着いて一つ一つを丁寧に考えながら理解してください。

今回はここまでにしたいと思います。