第18回 遺産分割の手続②

こんにちは!

今回も前回に引き続き、協議による分割の注意点を見ていきたいと思います。

 

まず、共同相続人の中に未成年者がいる場合の分割の協議の注意点から見ていきます。

原則として、未成年者の法律行為には、法定代理人(親権者、いない場合は後見人)の同意が必要です。

そして親権者などの法定代理人は、未成年者の財産管理権を持っており、その財産上の法律行為では、未成年者を代理する立場にあります。

遺産分割協議も財産上の法律行為になります。

サザエさん一家で説明すると、母親のフネが法定代理人となり、カツオとワカメの二人に代わって遺産分割を行うことになりそうです。

しかし次の場合には、法定代理人が未成年者の財産を管理したり、代理したりする行為は「利益相反行為」(ある行為により、一方の利益になると同時に、他方への不利益になる行為)として認められません。

①未成年者と、親権者(または後見人)の利益がお互いに相反するような行為

②親権者に数人の未成年の子がいて、お互いにその利益が相反するような行為

具体的には次のような例が該当します。

・親権者と子が共同相続人である場合に遺産分割協議をすること

・親権者と子が共同相続人である場合に、親権者が子についてのみ相続放棄の申述をすること

フネは波平がなくなった場合の共同相続人の1人です。

いくらカツオ、ワカメが未成年の相続人であっても、フネが2人の法定代理人になることは同じ被相続人である波平の遺産を分け合うという点で、利益相反関係にあたります。

 

そこで、このような場合には、家庭裁判所に申立てて、それぞれの未成年者のために「特別代理人」を選任してもらわなければなりません。

遺産分割協議は、限られた財産を相続人同士が取り合うため利益相反行為に当たるものとして、特別代理人が必要となるのです。

そしてこの特別代理人が未成年者に代わって遺産分割の手続を行うことになります。

 

 

次に、共同相続人の中に行方不明者がいる場合の分割の協議の注意点を見ていきます。

共同相続人の中に行方不明者がいる場合は、勝手にその人を除いて分割の協議をすることは許されません。

この場合、不在者が自分で財産管理人を選任していれば、その者を協議に加えて分割をすることになります。

通常はそのようなことはないでしょうから、この場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選任してもらい、裁判所の許可を得て、その者に加わってもらって分割の協議をしなければなりません。

 

 

次に、共同相続人の中に認知症など判断能力に問題がある人がいる場合の分割の協議の注意点を見ていきます。

サザエさん一家で説明すると、波平が亡くなったときに、相続人のフネが認知症になっていたら・・・。

フネが重度の認知症で意思能力がない場合は、分割協議に参加させても、意思無能力を理由に無効とされる可能性が高くなります。

このように相続人の誰かが認知症になっている場合は、判断能力の程度によって異なり、次のような法的対応を取らなければなりません。

判断能力を欠く常況にある場合は、成年後見の審判を申立て、成年後見人が選任されれば、成年後見人がその者に代わって遺産分割に加わります

判断能力が著しく不十分な場合は、保佐開始の審判を申立て、保佐人が選任されれば保佐人が本人を代理して遺産分割に加わるか、保佐人の同意を得て本人が遺産分割に加わります

判断能力が不十分な場合には、補助開始の審判を申立て、補助人が選任されれば補助人に別途代理権を付与してもらい、補助人が本人を代理して遺産分割に加わるか、補助人の同意を得て本人を代理して遺産分割に加わります

いずれにしても、共同相続人の中に判断能力に問題がある者がいる場合には、それぞれの手続をしなければならないので、遺産分割には時間も費用もかかることになります。

あらかじめ遺言をしておくことによって、このような事態は避けることができるので、実情に応じた遺言をしておくことが必要になると思います。

波平が元気なうちに遺言を書いておけば、たとえフネが認知症になっていたとしても、分割協議なしで遺言のとおり遺産が分割されることになったのです。

今回はここまでにしたいと思います。