第14回 相続人の相続分はどのように決められているの?③

こんにちは!

今回は、生命保険金の取扱いと死亡退職金がある場合についてみていきたいと思います。

 

まず生命保険金の取扱いですが、被相続人が特定の相続人を生命保険金の受取人に指定している場合、または受取人の指定が単に「相続人」となっている場合であっても、

生命保険金は相続財産ではなく、その相続人の固有財産になります。

しかしそれでは、共同相続人間の公平性をなくす場合もあるので、生命保険金についても前回見てきた特別受益財産として持戻しの対象に加え、相続人間の公平を図るべきであるという考え方もあります。

これについて最高裁平成16年10月29日判決は、養老保険契約の受取人とされた相続人が取得した死亡保険金について、特別受益にはあたらないとしました。

もっとも、保険金受取人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が、民法903条という条文を設けている趣旨に照らして到底是認することができないほどに著しいと評価すべき特別の事情が存するときは、特別受益に準じて持戻しの対象となることもあり得ることを示唆しました。

特別の事情として重視されるのが、遺産とその生命保険金の比率です。

例えば、遺産総額に匹敵するような生命保険金額であれば、特別の事情が肯定され易くなります。

他方、本件生命保険金の額が遺産総額の数%に過ぎなかった場合には、特別の事情を否定されやすくなります。

そして、被相続人自らが被保険者となり、しかも受取人を指定しなかった場合には、その保険契約約款に従って決することになります。

たとえば約款において、配偶者を第一順位の受取人とする旨の規定があれば,生命保険金は配偶者に支払われることになり、それは相続財産(遺産)ではなく、配偶者の固有財産となるということです。

約款において受取人が特定されず、「被保険者の相続人に支払う」とだけ規定されていた場合には、その生命保険金はその相続人の固有財産となります。

相続人が複数いる場合には、それぞれの相続分に応じて各共同相続人の固有財産となり、やはり相続財産には含まれません。

 

また、被相続人が在職中に亡くなった場合に、死亡退職によって支給される場合の死亡退職金についても、受給者の固有の権利であると解されています(最高裁判決昭和55.11.27)。

よって、死亡退職金は原則として遺産分割の対象とはならず、遺産分割協議書に記載することも不要ということになります。

そして、死亡退職金は社内規程で定められた受取人が受け取ることとなります。

ただし、死亡退職金について明確に受取人の定めがない場合には、当然に受取人固有の財産と考えることには難しく、場合によっては遺産分割の対象となることも考えられます。

社内規程に受取人の定めがない以上、死亡退職金の請求権を相続人が相続したとして、遺産分割協議の対象とする考え方です。

また、生命保険金と同様、受取人が多額の死亡退職金を受け取った場合は、特別受益に準ずるものとして考えることができ、共同相続人間の公平を図るために、相続割合の調整がされる場合があります。
注意しなければならないのは、死亡退職金も相続税の課税対象になるということです。
本来被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金などは相続税法上では「退職手当金等」といい、死亡退職金も含まれます。
退職手当金等を遺族が受取る場合、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定されたもの(現物支給も含む)は、相続財産とみなされて(みなし相続財産といいます)相続税の対象となります。
ただし、相続人が受取った退職手当金等は、全額が相続税の対象となるわけではありません。
「500万円×法定相続人の数」で出した非課税限度額以下であれば、相続税も非課税となります。
サザエさん一家で説明すると、波平が在職中に死亡し、妻のフネやサザエたち3人の子供の合計4人が相続人となった場合、
「500万円×4人=2,000万円」までは相続税がかかりません。
少しややこしいですが、死亡退職金がある場合は注意が必要です。
今回はここまでにしたいと思います。